失われた時を求めて

Y先生との再会を夢見て

一緒に帰ろう

中学時代に時々帰りたくなる。母も元気。先生にも恵まれ、友人たちも自分を面白がってくれるし、信頼されていた。

この頃、同級生の女の子たちはとにかく誰かに恋をしていなければならなかったような、そんな年頃だった。誰かを好きでいることに、満足していた。付き合っているようなカップルなんて、ひと学年に数組しかいなかっただろう。でも、机の引き出しの奥にしまっておくような、小さなエピソードは各々あったのかもしれない。

 

中2の冬、部活の帰りだったと思う。空は真っ暗だった。下駄箱で野球部の同級生に声をかけられた、一緒に帰ろうと。

小学生の頃から親しい彼には何ら恋心は抱いてなかったが、きっと顔は真っ赤に染まった。

彼も私に恋していたわけではないけれども、そんな言葉をかけてみたくなったのだと思う。

 

人気者だった彼とは成人式で同席して以来、会っていない。同級生の女の子から、当たり屋をやって入院しているようだという変な話も耳にしたが、家族と幸せに暮らしていてほしい。